
時候の挨拶:四季を綴り、心を繋ぐ『十二ヶ月の索引』
拝啓のあとに続く数文字。
そこに、あなたはどんな景色を描きますか?
型通りの挨拶を並べるだけなら、AIでもできます。
大切なのは、その時の空気を、相手への思いやりと共に文字に乗せること。
格式を重んじる「漢語調」、親愛の情を込める「口語調」。
一ノ瀬が、あなたの知性を四季の彩りと共に届けるための、最強の語彙集をここに集結させました。
十二ヶ月の時候の挨拶・決定版リスト
会社対会社の公式文書なら「漢語調」を、個人的な礼状や親しい相手なら「口語調」を選びなさい。
「候(こう)」は「みぎり」と読み替えると、より柔らかな印象になります。
| 月 | 漢語調(フォーマル) | 口語調(親愛・柔和) |
|---|---|---|
| 1月 | 厳寒の候、大寒の候 | 寒さも一段と厳しさを増してまいりました。 |
| 2月 | 立春の候、向春の候 | 早咲きの梅の便りが届くころとなりました。 |
| 3月 | 早春の候、春暖の候 | 日ごとに暖かさも増し、すっかり春めいてまいりました。 |
| 4月 | 陽春の候、桜花の候 | 桜花爛漫の好季節となりました。 |
| 5月 | 新緑の候、薫風の候 | 木々の緑が日に日に深さを増す頃となりました。 |
| 6月 | 初夏の候、入梅の候 | あじさいの花がみずみずしく咲く季節となりました。 |
| 7月 | 盛夏の候、酷暑の候 | 梅雨も明け、いよいよ夏本番がやってまいりました。 |
| 8月 | 残暑の候、晩夏の候 | 立秋とはいえ、きびしい暑さが続いております。 |
| 9月 | 新涼の候、秋分の候 | ひと雨ごとに秋を感じる季節となりました。 |
| 10月 | 秋晴の候、錦秋の候 | さわやかな秋晴れの毎日でございます。 |
| 11月 | 晩秋の候、向寒の候 | 木々の葉も色づき、吐く息も白さを増す今日この頃です。 |
| 12月 | 師走の候、冬至の候 | 今年も残すところわずかとなってまいりましたが…… |
季節の使い分け
① 1月〜3月:厳冬から光の春へ
新年の華やぎから、三寒四温の春待ち顔へ。
「大寒」の厳しさを共有しつつ、ふとした梅の香りに春を予感する。その繊細な感性が、手紙に奥行きを与えます。
② 4月〜6月:芽吹きから滴る緑へ
桜の盛りを祝う言葉から、雨に濡れる紫陽花の美しさへ。
「薫風(くんぷう)」や「五月晴れ」といった、五感を刺激する言葉を選びなさい。季節が動くリズムを、あなたの文字で伝えるのです。
③ 7月〜9月:灼熱から涼やかな風へ
「暑中見舞い」は梅雨明けから立秋まで。
「残暑見舞い」は立秋以降。
この境界線を守るのが大人のマナーです。
猛暑を労りつつ、秋の虫の音に涼を見出す。
その切り替えこそが、洗練された大人の余裕です。
④ 10月〜12月:実りから静かなる師走へ
錦のような紅葉、そして身の引き締まるような冬の到来。
「気ぜわしい毎日ですが」と相手を気遣う一言が、冷たい空気の中に温かな灯をともします。
一年の締めくくりを、感謝の言葉と共に結びなさい。
季節を操る「時候の挨拶」全リスト
ビジネスの現場では、同じ相手に月に二度、三度と手紙を書く場面があります。
その時、毎回「初春の候」の一点張りでは、相手に「ああ、この男はマニュアル通りにしか動けないのだな」と底を見透かされます。
語彙の厚みは、信頼の厚み。
予備の弾丸を持ちに戦場に出ましょう。
1月:睦月(むつき)
漢語調
謹賀新年、恭賀新年、賀春、初春の侯、小寒の侯、仲冬の候、厳寒の候、大寒の候、酷寒の侯
口語調
- 皆様おそろいで、おだやかな新春をお迎えのこととお喜び申しあげます。
-
冷たい風の中にも、どことなく華やいだ空気に包まれる新春でございます。
-
寒さも一段と厳しさを増してまいりました。
-
寒の入りとはいうものの例年にない暖かい日が続いております。
-
大寒に入ってからは、冷え込みもまた格別でございます。
2月:如月(きさらぎ)
漢語調
立春の侯、余寒の侯、晩冬の候、季冬の候、残冬の侯、残寒の候、向春の候
口語調
-
立春が過ぎましても、まだ厳しい寒さが続いております。
-
春とは名ばかりの寒さが続いております。
-
早咲きの梅の便りが届くころとなりました。
-
暖かい春の日差しが1日も早く待たれる頃となりました。
-
春の気配を感じさせる今日このごろ、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと……
3月:弥生(やよい)
漢語調
浅春の侯、早春の侯、啓蟄の候、春暖の候、仲春の候、春分の候、浅暖の侯
口語調
-
春の訪れをはっきりと感じられる気候となりました。
-
日ごとに暖かさも増し、すっかりと春めいてまいりました。
-
春とはいえ、まだ寒さの名残を感じさせる日が続いております。
-
水温むころとなりましたが、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと……
-
暑さ寒さも彼岸までといわれるとおり、すっかり暖かくなってまいりました。
4月:卯月(うづき)
漢語調
桜花の侯、春嵐の候、清明の候、陽春の侯、麗春の候、晩春の侯、穀雨の候、春和の候
口語調
-
桜花爛漫の好季節となりました。
-
桜の花も今を盛りに咲き誇っております。
-
花冷えの日が続いておりますが、皆様にはお変わりなく……
-
桜の季節も終わり、葉桜の季節に移ってまいりました。
-
春光のうららかな季節となりました。
5月:皐月(さつき)
漢語調
惜春の候、残春の候、薫風の侯、立夏の侯、若葉の候、新緑の候、小満の侯
口語調
-
薫風の候、おだやかな日差しの毎日でございます。
-
五月晴れの青空に鯉のぼりが悠々と泳ぐ季節となりました。
-
木々の緑が日に日に深さを増す頃となりました。
-
木々の緑、草花の香りただようよい季節となりました。
-
日中は汗ばむほどの陽気のころとなりました。
6月:水無月(みなづき)
漢語調
初夏の侯、芒種の候、薄暑の候、入梅の侯、梅雨の候、長雨の候、向暑の侯、麦秋の候、夏至の候
口語調
-
青葉をわたる風に夏を感じる今日この頃でございます。
-
あじさいの花がみずみずしく咲く季節となりました。
-
憂鬱な梅雨に入りましたが、いかがお過ごしでしょうか。
-
梅雨明けも近づき、日ごとに夏らしくなりました。
-
梅雨明けが待ち遠しく感じる今日この頃でございます。
7月:文月(ふみづき)
漢語調
盛夏の侯、仲夏の侯、小暑の候、酷暑の侯、猛暑の候、炎暑の候、大暑の候、極暑の侯
口語調
-
長かった梅雨もまもなく明けようとしております。
-
梅雨の合間にも夏本番のような日差しが照りつける頃となりました。
-
樹木に降り注ぐ直射日光も、いちだんと強いものを感じるようになりました。
-
梅雨も明け、いよいよ夏本番がやってまいりました。
-
暑中お見舞い申しあげます。 (※暑中見舞は梅雨明けから立秋までに出す。それ以降は残暑見舞いにする。)
8月:葉月(はづき)
漢語調
立秋の侯、残暑の侯、残炎の候、残夏の侯、暮夏の侯、晩夏の候、秋暑の侯、処暑の候
口語調
-
暑さますますきびしい毎日ですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
-
立秋とはいえ、きびしい暑さが続いております。
-
残暑お見舞い申しあげます。
-
厳しかった暑さも峠を越え、たいぶ過ごしやすくなりました。
-
虫の声に秋の気配が感じられる今日この頃でございます。 (※残暑見舞は立秋以降にする。)
9月:長月(ながつき)
漢語調
初秋の侯、新秋の侯、新涼の候、白露の候、清涼の侯、秋分の侯、仲秋の候、爽秋の候、秋霖の侯
口語調
-
朝夕はしのぎやすくなりましたが、日中の暑さはまだ厳しいものです。
-
セミの声もおとろえをみせ、秋の気配を感じる頃となりました。
-
ひと雨ごとに秋を感じる季節となりました。
-
暑さ寒さも彼岸までといわれるとおり、涼しくなってまいりました。
-
秋の気配が、いやおうなしに身にしみて感じられる頃となりました。
10月:神無月(かんなづき)
漢語調
秋晴の侯、清秋の侯、錦秋の候、寒露の侯、秋容の侯、秋冷の候、霜降の候、菊花の侯
口語調
-
さわやかな秋晴れの毎日でございます。
-
桐一葉落ちて天下の秋を知る頃となりました。
-
万物が熟するよい季節を迎えました。
-
実りの秋を迎え、いよいよ充実した毎日をお過ごしのことと……
-
朝夕は寒ささえ感じる季節になりました。
11月:霜月(しもつき)
漢語調
晩秋の候、深秋の侯、暮秋の候、立冬の侯、向寒の候、初霜の侯、深冷の侯、小雪の候、初冬の候
口語調
-
木々の葉も色づく季節となりました。
-
朝夕の冷え込みに、吐く息も白さを増してくる今日この頃でございます。
-
日脚の短さが実感される今日この頃となりました。
-
木枯らしの身を切る音で寒さが身にしみる季節となりました。
-
寒さもいちだんと厳しさが増してまいりましたが……
12月:師走(しわす)
漢語調
師走の侯、寒気の候、霜寒の侯、大雪の侯、仲冬の候、寒冷の候、冬至の侯、月迫の侯、歳末の侯、歳晩の候
口語調
-
師走に入りますと、何かと気ぜわしさを感じます今日この頃でございます。
-
本格的な冬の到来を迎えましたが、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと……
-
各地から雪の便りが届く頃となりました。
-
街を行く人の姿も、どことなく気ぜわしく感じられる今日この頃です。
-
今年も残すところわずかとなってまいりましたが…
一ノ瀬のノート:言葉の引き出しを、常に満たしておくこと
四季を愛でる言葉を知ることは、相手の心に寄り添う準備をすることです。
二十四節気カレンダー / 歳時記
今がどの節気にあたるのか。それを知るだけで、手紙の書き出しに迷いがなくなります。
日本の美しい暦をデスクに。
日本和菓子・銘菓お取り寄せ
手紙と共に、季節の「美果」を贈りなさい。
言葉と味覚が重なったとき、あなたの誠意は完璧なものになります。
電子辞書・広辞苑
正しい漢字、正しい意味。曖昧なまま書くのは、プロの恥です。
一瞬で引ける信頼を、その手に。